好きかどうかがわからない

芥子菜

2009年11月06日 07:34

何でもない文脈で、
それが好き?
と訊かれた。
それについて好きかどうかを考えたことがなくて、一瞬考えこんでしまった。

***

自分がそれを好きかどうかを確かめるためには、少々時間が必要。
そのために進んで動いているか。
どこまで自分を使えるか。
それらをなんとも思わずにやっているか。
そういう自分の行動を確認して、あぁ、ひょっとしてこれを私は好きなのかもしれないと、考えられる。

でも、これって「好き」っていう意味であってる?
大辞林によると、好きとは、「(1)心がひきつけられること。気持ちにぴったり合うさま。」だそうだ。

なら、私は、心の動きを(自分自身であるのにもかかわらず)、感覚ではなく自分の行動で確かめようとしているのだろう。あたかも他人を観察するように。

***

好きか?という問いには、ある種の覚悟が求められているような心持ちを覚える。

この人の中で、自分は「それを好きな人」という刻印を押されてもいいというほどに好きだと認めるか?と問いただされたような、そんな大仰な問いが聞こえた気さえしてしまう。
私は、絵を、好きなんだろうか。
家族を、好きなんだろうか。
出身地を、好きなんだろうか。
その人を、好きなんだろうか。

よく、わからない。
自問しても答えは出てこない。エコーのように反響するだけ。
だから、私は自分の行動を見返す。
そして、とりあえず自問自答のループに入らないように気をつけて、多分ね、とあいまいな答えを一時的に提示する。
本当に?という疑問を抱えたまま。

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