2009年09月08日
ビー球の煌めき

日差しがまだ真夏のようにぎらぎらと光る午後2時前後。
アスファルトの黒い道をゆったりのったり、お子さんの小さな歩幅にあわせて親子が進む。
お子さんは右手をお母さんとつなぎ、左手に小さな紺色のヴァイオリンケースを提げてらっしゃる。
自分の身長より少し小さなくらいのスケール用のケースがたいそうかわいらしい。
足が一歩前へ出て、後ろ足が追いついて、そのたびにゆ~らゆら~りと、地面にぶつかりそうでぶつからない絶妙な高さの手の位置。
ちいさな子には重いんじゃないかな~。でも、ちゃんと持ってるなんてすごーい!と思っていると、そのゆた~りのリズムが急遽アレグレットへ変わって、その子は数歩かけていき、ヴァイオリンケースをすとんと横に置いて、しゃがみこまれた。その目線の先では、お店のアクセントとしてコンクリートに半ば埋められたビー球がきらきらと輝いていた。
お連れのお母様は、バイオリンを道に置かないの!と少々憤慨気味でしたが、私はビー球の輝きに目を奪われて駆け寄らずにいられなかったその子の感覚を共有してしまっていました。呼びかけにも上の空の、煌めきに魅了された状態を。
だってお日様がきらきらして、とっても綺麗だよ…お母さんって。